2008-09-01から1ヶ月間の記事一覧

志向性の存在論(仮)

昨日書いたもののほぼすべてがお蔵入り決定。まあいつものパターンだ。

Crane 2001

Tim Crane Elements of Mind, 2001, chap.1. 志向性の問題をどうやって特徴づけでいるのかを知りたくて読みはじめる。これはかなりいい本の予感。

志向性の存在論(仮)

いいかげん手を動かし始めないとまずいので、書き始める。当初は志向性の副詞説および対象説のいろいろなヴァージョンを並べつつ、それぞれの利点と難点を比較検討して…という内容を考えていたのだけど、与えられた時間内に収めるにはいささか壮大すぎること…

Twardowski 1894.

Kasimierz Twardowski, Zur Lehre vom Inhalt und Gegenstand der Vorstellungen, 1894, §8. 第八節の最後まで。あいかわらず「徴表」の多義性について。言葉遣いに関する話が大半で、議論の進展らしい進展はあまりない。続く二節はかなり重要な箇所。

Mulligan 1998

Kevin Mulligan "Relations---Through Thick and Thin," 1998. 主に再来月の発表のために読む。「being happier than」・「hit」といった「厚いthick」関係は、その関係の項(およびその性質など)と、「薄いthin」関係(たとえば「being greater than」)に…

ルイス2006

デイヴィド・ルイス 「普遍者の理論のための新しい仕事」、2006。 性質について何か読みたいと思ったので、やっと最後まで読み切る。なぜもっと早く読まなかったのか。とても面白い。

Thomasson 1999

Amie Thomasson, Fiction and Metaphysics, 1999, ch. 8. 勉強会。Thomassonが「カテゴリ論」ということで理解していることが、いまいちよく分からない。

Chrudzimski 2005

Arkadiusz Chrudzimski "Brentano, Husserl und Ingarden über die Intentionalen Gegenstände," 2005. 再読。志向性の副詞説は、性質に関するプラトニズムにコミットせざるを得ないという主張など。この主張それ自体には反対しないけど、志向的対象に訴える…

Kriegel 2008

Uriah Kriegel, "The Dispensability of (merely) Intentional Objects," 2008. これも、志向的対象をなしですませようとする、副詞説の立場からの論文。賛成はできないけど、面白い。もし志向性が外在主義的なしかたで個別化されるなら、志向性の副詞説はそ…

Brandl 2005

Johannes Brandl, "The Immanent Theory of Intentionality," 2005. 初期ブレンターノの志向性理論(「志向的内在」というnon realな心的存在者に訴える説)を再評価する試み。従来の批判が誤解にもとづいていることの指摘などは、すでにChrudzimskiの仕事で…

Gorman 2006

Michael Gorman, "Talking About Intentional Objects," 2006. Craneの志向的対象論文への批判。Craneは、志向的対象が何でないかをはっきりさせているが、それが何であるかをはっきりさせていない、という私的にはまったくもって賛成できる。のだけど、では…

Crane 2001

Tim Crane, "Intentional Objects," 2001. 志向性理論にとって志向的対象がなしで済ませることのできないものであることを論じつつも、志向的対象を認めることによって登場するジレンマ(「存在しない対象が存在する」と「存在しない対象についての志向的状…

Husserl, Hua. XXVI

Edmund Husserl, Vorlesungen über Bedeutungslehre, §§ 37-8. 訳読。引き続き、明快な叙述が続く。純粋論理学的判断は、明証的であるために一切の直観(変様された直観としての想像さえも)を必要としないとはっきり書いてある。まあ、分析性にかんしてフッ…

Husserl, Hua. XXVI

Edmund Husserl, Vorlesungen über Bedeutungslehre, § 36. 訳しながら読む。事実に関わる判断と本質に関わる判断の区別をしている箇所。アポステリオリな否定判断をどう扱うか(否定的事態を、肯定的事態と同じ身分のものと認めるかどうか)についての見解…

Twardowski 1894

Kasimierz Twardowski, Zur Lehre vom Inhalt und Gegenstant der Vorstellungen, 1894, §8. 「表象されたものの部分 Teil des Vorgestelltes」として特徴づけられた「徴表 Merkmal」が、「表象されたもの」の多義性によって多義的になってしまうことと、多…

Anscombe 1957

G.E.M. Anscombe Intention, 1957, § 37. wantingの対象について。途中からブレンターノ学派における志向性理論の話に脱線する。

Thomasson 1999

Amie Thomasson, Fiction and Metaphysics, 1999, chap. 7. 勉強会。抽象的人工物としての虚構対象を認め、虚構に関する言明を二つのクラスにわけるThomassonの戦略の概略と、その利点について。これで第七章は終わり。残るはあと三章。

Husserl, Hua. XXVI

Edmund Husserl, Vorlesungen über Bedeutungslehre, §§ 35. 訳しながら読む。やはりこの辺の話は初期超越論的観念論と直結している。レアールな可能性の総体としての世界、とかあの辺の話題。

Husserl, Hua. XXVI

Edmund Husserl, Vorlesungen über Bedeutungslehre, § 34. 訳読。(a)から(c)までの下位区分がある8ページにわたる節とはいえ、やや減速してしまった。いろいろな「合致Deckung」関係を区別しているところ。具体的にはどういうケースが考えられているの…

Husserl, Hua. XXVI

Edmund Husserl, Vorlesungen über Bedeutungslehre, §§ 31-3. あいかわらず同じ作業。志向的対象としての意味を導入しつつも、実質的にはスペチエス説へと後退してしまう*1、というフッサールの迷走(これは、1911年春の草稿まで続くことになる)が、このあ…

Husserl, Hua. XXVI

Edmund Husserl, Vorlesungen über Bedeutungslehre, §§ 29-30. 訳読。フッサールがここで使っている「同値Äquivarenz」概念は、ふつうのそれとちょっと違うので注意が必要だ。pとqがこのいみで同値であるのは、「pという事態=qという事態」が成り立つとき…

Husserl, Hua. XXVI

Edmund Husserl, Vorlesungen über Bedeutungslehre, §§ 26-8. 引き続き訳しながら読む。『イデーンI』の重要なポイント(一般的な志向性理論が、理性と現実の相関についての議論に先立つ)とも関連する、重要な箇所。「想定Assumtion」の話は、よく分から…

Husserl, Hua. XXVI

Edmund Husserl, Vorlesungen über Bedeutungslehre, §§ 22-5. 訳しながら読む。すでに何度も読んだ講義なので、大筋の理解は得ているわけだけど、細かいところでいくつか新たに気付いたことが。読み手の成長にあわせて容貌を微妙に変えていくことが古典のメ…

Twardowski 1894

Kasimierz Twardowski, Zur Lehre vom Inhalt und Gegenstant der Vorstellungen, 1894. 勉強会。フッサールの(形式的)存在論とほぼ同様の発想が出てくるが、ある点でフッサールとは決定的に違っている。この相違と志向性理論に関わる相違(それらはとうぜ…

Anscombe 1957

G.E.M. Anscombe, Intention, 1957, §37. 勉強会。非常によく分かる箇所と、非常によく分からない箇所が。よくこんな本を書けたよな。

Husserl, Hua. XXVI

Edmund Husserl, Vorlesungen über Bedeutungslehre, §§ 20-1. 訳しながら読む。フッサールのドイツ語は、慣れてしまえば意外とすんなり読めてしまったりすることも多いのだけど、それを日本語に直すのはまた別の話。

Thomasson 1999

Amie Thomasson, Fiction and Metaphysics, 1999, chap. 7. 勉強会。マイノング主義の2ヴァージョン(ParsonsとZalta)を検討している箇所。(たとえば歴史小説に登場するような)虚構作品内の「実在の人物」の問題は、きちんと考えると面白いかもしれない…

Husserl, Hua. XXVI

Edmund Husserl, Vorlesungen über Bedeutungslehre, §§ 18-9. 引き続き、訳しながら読む。「表象」が非常に多義的に使われるのがなんとも厄介だ。

Chisholm 1971

Roderick Chisholm, "States of Affairs Again," 1971. Davidson 1970への再反論。あるいみではチザムのチザムらしさがいちばん堪能できる、デイヴィドソンの批判に応える細かい部分は斜め読みで飛ばし読み。事態を導入するポイントを改めて述べる箇所だけ押…

Davidson 1970

Donald Davidson "Events as Particulars," 1970. Chisholm 1970への返答。出来事の再帰の問題を、(チザムのように抽象的な存在者としての事態を持ち出すのではなく)個別者としての事態だけから説明する路線を素描した後、副詞(句)を含んだ文の推論関係…