Hanna 2008, De Palma 2008

  • Robert Hanna, "Husserl's Arguments against Logical Psychologism (Prolegomena §§ 17 - 61)," 2008.*1
  • Vittorio De Palma "Husserls phänomenologische Semiotik," 2008.

『論研』関連の二次文献調査。どちらも、Klassiker Auslegenシリーズの『論研』の巻に収録されている*2。Hanna論文は、『論研』第一巻におけるフッサール心理主義的論理学批判がどれも同じようなかたちの議論になっていることを示しつつ、それらの議論を後で支えている、「論理法則に従って推論すること」と「論理法則から推論すること」の区別の重要性を指摘するもの。なかなか面白かった。De Palma論文は、第一研究の前半部への、かなり良質のコメンタール。フッサールの言語論を扱った論文のほとんどが見落としているか無視している、表現作用の二重の志向性(言語記号に関係する「語音意識」と言語記号によって表示されるものに関係する「意味志向」)の問題をきちんと取り上げていて好感が持てる。しかし、フッサールにとって、意味の第一義的な担い手は言語記号ではなくスペチエスにおける作用だ、という主張には同意できない。