Husserl, Hua. XXVI

  • Edmund Husserl, Vorlesungen über Bedeutungslehre, §§ 31-3.

あいかわらず同じ作業。志向的対象としての意味を導入しつつも、実質的にはスペチエス説へと後退してしまう*1、というフッサールの迷走(これは、1911年春の草稿まで続くことになる)が、このあたりで始まっている。ただし、この迷走にポイントがないわけではない。第一に、この迷走は、意味概念と真理概念(フッサールの場合、これは充実概念に直結している)の関連をなんとか保持したまま議論を進めようとしているために生じている。第二に、「命題的可能性propositionale Möglichkeit」(簡単にいうと、ある文が充実可能であること)を巡る議論は、この講義の直後に執筆される最初期超越論的観念論草稿(Hua. XXXVI, Nr. 1-4)の論点に直結している。この辺をもう少し解きほぐせるといいのだけど。

*1:ただし、本質に関わる命題については、ここで表明される立場で問題ない。