Luft 2007

  • Sebastian Luft "From Being to Givenness and Back: Some Remarks on the Meaning of Transcendental Idealism in Kant and Husserl," 2007.

カントの超越論的観念論とフッサールのそれを(フッサール自身がしばしばそうしてしまったように)、単に対立させるのではなく、前者から後者の真の姿を照射する試み。とても面白い。とりわけ啓発的なのは、カントの実践哲学上の考察が重要視される点。カントの発想のうちフッサールがもっとも高く評価していたのが「純粋実践理性の要請」であるという事実*1を踏まえ、それが活かされる終盤の展開は、まさに我が意を得たりといった感じ。

*1:1925年4月3日付のカッシーラー宛書簡を参照。