Husserl, Hua XXVI, Beilage XIII-XVI

  • Edmund Husserl, "1) Erscheinung, 2) Sinn, 3) Bedeutung=gegenständliche Beziehung," wohl 1909.
  • Edmund Husserl,"Ontische Bedeutung in der Sphäre der Wahrnehmungen und der schlichten Anschauungen," 1908.
  • Edmund Husserl, "Die Möglichkeit der Scheidung der Urteilsklassen innerhalb der Bedeutungslehre," wohl 1907/08.
  • Edmund Husserl, "Wesenslehre der Urteile," 1908.

引き続きフッサールの草稿の訳出。思考と(感性的)直観の類比性という(ブレンターノ譲りの)想定が背後にあるとおぼしき1909年の草稿は、『イデーンI』でなされているような「(言表判断の)意味 Bedeutung」と「(知覚)意味 Sinn」の区別が導入され、しかもそれらがどのように関係しているのかについての壮絶に細かく読みにくい話が延々続けられる重要なもの。言語の意味に関する心理主義的な見解を退けるさいに意味を無時間的で抽象的な存在者(「イデア的対象」)として導入してしまったせいで、知覚によって確証されるような経験的言明の意味を扱う際にフッサールは大変な苦労をしている。それに加え、「一般的にいって、文の意味を理解することはその文が真ないし偽であることを把握することから独立している」というそれはそれで間違いではない事柄に、フッサールは強すぎる解釈(「文の意味についての分析は、その文の真偽(の確証)の分析と独立である」)を与えてしまっている*1。そのためフッサールは、文の意味と真理条件が深い関係にあるという(今となっては当たり前の)ことをちゃんと自覚する*2までに、結構な紆余曲折を経ることになる。1908-10年あたりのフッサールの意味に関する草稿がかなり読みにくいのは、おそらくこうした事情に起因している。フッサールの草稿の読みにくさを改善することはもちろんできないけど、なぜそれが読みにくいのかについては多くの場合きちんとした理由がある

*1:こうした考えは、今回読んだ三番目と四番目の草稿に見てとることができる。

*2:もちろん、こうした考えを『論研』から引き出すことは一方でできるのだけど。