Kern 1964

重い腰を上げ、博論を書くために絶対に読まなければいけない二次文献*1を片付ける作業をはじめる。とりあえず第一部を読了。突っ込んだ議論のための背景を導入するところなので、あっさりと先に進むことができた。Alois Riehl(とAlexander Wernicke)の実在論的なカント解釈がフッサールのカント理解に大きな影響を与えていて、しかもフッサールのBildertheorie(Zeichentheorie)批判の背景をなしていることなど、知らなかった重要情報がいくつか。フッサールのカント的側面の形成に関しては、実はボルツァーノがひっそりと重要な役割を果たしているのではないか、という作業仮説を密かに立てているのだけど、その辺はまったく触れられず。まあ当然と言えば当然。

*1:その他、ぱっと思いつくかぎりで以下のものがある。Theodore De Boer, The Development of Husserl's Thought, 1978. Jean-François Lavigne, Husserl et la naissance de la phénoménologie, 2005. J. N. Mohanty, The Philosophy of Edmund Husserl, 2008. Lina Rizzoli, Erkenntnis und Reduktion, 2008.