Pfänder 1963/2000

  • Alexander Pfänder, Logik, 1963/2000.

博論作業をやるという気分ではないので平行してやっているプロジェクトの方を。実在論現象学の古典の一つであるプフェンダーの論理学本(初版1921年)の第一部と第二部をおよそ七割ほど読む。論理学の本といっても、内容的には存在論や(概念論というかたちでいわば偽装された)志向性理論として理解される部分が多い。概念ないし(概念の複合としての)判断に存在論的に依存した対象(概念の形式的対象ないし志向的対象)の領分を導入して、自体存在する対象(概念の実質的対象)の領分から区別するあたりがポイントか。ただし、二つの対象の関係がどうなっているのかがいまいち不明瞭なのと、概念や判断の存在論的身分に関する主張(概念や判断は、作用によって作られる形成体 Gebildeであり、数のように無時間的な存在者でもある)という主張が理解困難なのが問題か。インガルデンの志向性理論はこの辺の問題の可能な解決策の一つと見なすことができる。fomal concepts関する最近のマリガンの仕事もこの文脈に位置づけることもできる。実際マリガンは最近プフェンダーによく言及する*1

*1:代表的なものとして、Kevin Mulligan, "Truth and Truthmaking in 1921"